http://www.morrie.tv/index.html

おみつおとうさんこと光枝明彦さん出演、
山崎義也くん演出助手、ということで、
行ってまいりました。


同名原作も有名で、
映画にもなっているそう(ジャック・レモンの遺作らしいです)
音楽朗読劇というカタチでは初演。


ALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病で余命わずかのモリー先生が、
生きることの意味を見失ったかつての教え子に
最後の授業をする・・・というその物語。


実は、わたし、かつてALSの知人がおりまして、
当時10代の私にとって、そのかたの生き方、
そして最期と、強烈な印象を残していて、
今回おとうさんが出演されるという以上に、
ALSを扱った作品ということで、
どうしても観たいと思っていました。


個人差があるのかもしれませんが、
病気の様子や進行のスピードが、
私の知っているそれとは違う表現のような気がして、
ちょっと感情移入しにくかったのですが、
演出、そして出演の井料姉弟のお父様も
同じ病であったというから、
その演出にはリアルなものが含まれているのでしょう。


会場は前半早くから鼻をすする音が響き、
それが花粉症のせいだけではないことも
よく感じられました。



でも、不思議と私は、あんまり、こう、
胸の詰まるような思いにならなかったのです。


それは作品の出来不出来の話ではなくて、
私の知人を思い出すに、
ほんの数回しか会ったことがないのだけど、
その人とその家族の笑顔しか見たことがないのです。

モリー先生もまた、
難病、余命宣告の中にいて、
絶望に沈んでなどいなかったのです。


もちろんその陰には、恐怖や絶望との
壮絶な葛藤もあったことでしょう。
でも、知人やモリー先生が遺したものは
そういうことではないのです。

怖くて悲しいのは、死ぬことではなくて、
思いっきり生きていないこと。
ちゃんと生きていないまま死ぬとき、
死は恐ろしいのだと。


私たちが受け取るべきメッセージは、
病気ってコワイ、死ぬってカナシイ、ではなく、


だからこそ

生きているってすばらしい(なんかのタイトルでなく汗
愛する人がいるってすばらしい、
そういうことだと思ったのです。



ちょっと違ったと思うけど、
何度も繰り返された台詞に、


「愛し合いなさい、そうでなければ死んでいること」

というような内容のことがあって、




ああ。

誰かを愛して、愛されて、
今すぐ駆けていって、抱きしめてあげたいなあ、





思いました。



だから私は、隣のお客さんみたいに
嗚咽みたいな泣き声なんかあげずに、
ずーっと微笑んでいられました。



それは、

今の自分に悔いやウソがないから、
そう思えているから。

そう信じてみよう。



初演、そしてたった1晩の上演ということで、
いろいろ気になったこともなくはないような。
でも、きっとこれは、
再演に再演を重ねて、
静かに、でもながーく続いていく作品になると思います。


そう、なってほしいと思います。



小原孝さんの温かく、ときに情熱的な音楽もステキでした。



オリジナル曲に加えて既存の曲も使われていましたが、
私のダイスキなyou'll never walk aloneが。
あと、これもダイスキなんだけど、
防人の詩が出てきたときはちょっとビックリ。



八幡サンチャンや小百合さんにも会えたし、
やさしくてあたたかな夜でした。



でもそんなこんなで、
知人の奥様は今どうしているのだろうと検索をしてみたら、
どうもほんの2年くらい前にお亡くなりになったようなことが。


もっと早く思いついて、会いにいけばよかった。



モリー先生は、
そういう思いをしないように生きよと
教えてくれたばっかりなのに。